海沿いや防波堤に設置されている「テトラポッド」。大きなコンクリート製の構造物で、釣りや写真撮影などで登りたくなる人もいるかもしれません。
しかし、テトラポッドに登るのは極めて危険で、命を落とすリスクさえある行為です。実際に毎年、多くの事故が発生しており、その危険性は想像以上です。
今回は、「なぜテトラポッドに登ってはいけないのか?」 その理由を5つのポイントで解説します。
1. 滑りやすく転落の危険がある
テトラポッドの表面はコンクリートでできていますが、長期間海水や波を浴び続けるため、コケや海藻、貝殻 などが付着し、非常に滑りやすくなっています。
特に、以下のような状況ではさらに危険度が増します。
- 雨の日や波がかかる場所:水分を含んだコケや藻が滑りやすくなる
- 海水が乾いた後の塩の結晶:細かい塩の粒が滑りやすさを増す
- 裸足やサンダルでの移動:摩擦が少なく、踏ん張れない
一度滑ると、テトラポッドの隙間に落下し、手足を骨折する危険性があります。また、運が悪ければ頭を強打し、意識を失うことも…。
「ちょっとくらい大丈夫」と思って登った結果、転落して動けなくなるケースは後を絶ちません。
2. 落ちると自力で脱出できない構造
テトラポッドは、波の衝撃を吸収するために設置された構造物ですが、その形状が事故を引き起こす原因になります。
複雑な形状が脱出を困難にする
テトラポッドは三角錐や四脚の形状をしており、一度落ちると深い隙間にハマってしまいます。
- 隙間が深い:落ちると地面に足が届かず、身動きが取れなくなる
- 手足が挟まる:無理に動こうとすると、骨折や脱臼のリスクが高まる
- 他人が助けにくい:入り組んだ構造のため、外から救助するのが困難
また、夜間や波の音が大きい場所では、助けを求めても誰にも気づいてもらえないことがあります。
「自力で脱出できない=助かる見込みが低い」 ということを肝に銘じましょう。
3. 波にさらわれて海に落ちる危険
テトラポッドは、「波のエネルギーを分散させるため」 に設置されています。つまり、大きな波が常に当たる場所にあるということです。
特に注意が必要なのは、以下のような状況です。
- 台風や低気圧の接近時:普段より高い波が発生しやすい
- 冬の日本海側:強風による高波が頻繁に発生
- 満潮時や波が高い日:見た目以上に波が強く、足元をすくわれやすい
テトラポッドの上にいると、突然の大波にさらわれて海に落ちる可能性があります。
さらに、落ちた後の状況も最悪 です。
- 波が強くて岸に戻れない
- テトラポッドに激しくぶつかり、ケガをする
- 服を着たまま海に落ちると、動きにくくなり溺れる
特に、冬場の海は低体温症のリスク も高く、一度落ちると命の危険が極めて高くなります。
4. ケガをしても助けが遅れる
テトラポッドの事故では、ケガをしてもすぐに助けを呼べないことが多く、救助が遅れてしまうケースがあります。
- 人目につきにくい場所が多い:海岸沿いの防波堤など、人気のないエリアに設置されている
- 携帯が使えないこともある:波の音がうるさく、通話が難しい
- 夜間はさらに危険:暗闇の中では、転落したことに誰も気づかない
また、たとえ助けが呼べたとしても、救助隊が到着するまで時間がかかります。
- 救助に特殊な機材が必要:ロープやクレーンなどが必要になり、迅速な対応が難しい
- 消防や海上保安庁の出動が必要:一般人では救助できないケースがほとんど
「助けが来るまで耐えればいい」と思うかもしれませんが、波にさらわれたり、寒さで低体温症になったりすれば、助かる可能性はどんどん低くなります。
5. 「少しくらいなら大丈夫」という油断が命取りに
テトラポッドの事故で最も多いのが、「少しくらいなら大丈夫だろう」という油断からくるものです。
- 「みんな登ってるから平気」 → 事故は実際に起こっている
- 「写真を撮るだけなら問題ない」 → 滑って転落する危険性がある
- 「子供の頃に登って遊んでた」 → 大人になってからの落下はより危険
特に、SNSなどで**「テトラポッドの上で写真を撮る」** ことが流行していますが、これは非常に危険な行為です。
一度落ちると取り返しがつかないため、「ちょっとくらい…」という気持ちを完全に捨てることが大切です。
まとめ:テトラポッドには絶対に登らない!
テトラポッドは、見た目以上に危険な構造物です。
登るべきでない理由5つをおさらいすると…
- 滑りやすく転落の危険がある
- 落ちると自力で脱出できない構造
- 波にさらわれて海に落ちる危険
- ケガをしても助けが遅れる
- 油断が命取りになる
実際に、毎年テトラポッドでの事故は発生しており、中には命を落としてしまうケースもあります。
「ちょっとくらいなら…」という気持ちを捨て、絶対に登らないことが自分の命を守る最大の方法 です。
テトラポッドは遊び場ではありません。安全に海を楽しむためにも、この危険性をしっかり理解しておきましょう。
コメントを残す